農業百年の計は人材育成にあり
iCDを農業経営者育成のスタンダードモデル化へ向けて
会社のご紹介
有限会社トップリバー様は、レタス、キャベツを中心とした葉物野菜生産と、その過程で農業経営者の育成を行なわれている農業法人様です。
有限会社トップリバー
設立:2000年5月
従業員数:100名(2021年4月現在)
事業内容:大規模経営農家育成支援事業、野菜の生産・販売、新規就農者の育成 (独立、こせがれ、法人就農者育成)
取り組みについてお伺いさせてください
弊社では野菜の生産と共に農業経営者の育成を行なっています。事業の柱でもあり、独立できる農業経営者の育成において、「契約栽培」は重要なテーマになります。「契約栽培」をできる経営者目線を持った独立農家の担い手を育成することを常に意識しながらさまざまな取り組みを行なっています。このような人材育成スタイルは弊社の重要な基盤となっており、私たちはその推進メンバーです。
iCDをご導入いただいたキッカケを教えてください
弊社では、自社の育成ノウハウを研修として体系化して、若手の育成に役立ててきました。その育成過程において、学習したこと、実務として体験したことがどれだけ身についていのかは、面談での会話や実務をしながら、感覚的に把握するだけでした。
これを客観的に、具体的に、そして属人化されないように把握するにはどうしたらいいのか模索をしていたところ、スマートファーマー育成コンソーシアムの活動の中で、参加メンバーのIT企業様からiCDの話をお伺いしました。IT業界で活用されている人材育成の指標を農業にも活用できないかと考え導入の方向で検討が進められました。
iCDをどのように活用されていますでしょうか
導入から約1年程度ではありますが、既に、トライアル的なタスク診断も含めて3度の診断を実施してきています。最初の診断は、研修を受ける前に診断を実施し、自分ができる範囲を数値的に理解してもらいました。その後、研修の受講と実務を行い、半年後に改めて診断を実施してもらいました。自己の成長を可視化して、レベルアップの状況を客観的に理解してもらうために活用しています。
その結果、自分の強み、弱みが明らかになり、独立を目指す社員は、独立までに、どこを強化したら良いのか、が分かるようになりました。さらに、体系化された作業と教育をマッピングすることにより、各作業のレベルを上げるために、受けるべき教育が明確化され、個人の状況に合わせた効果的な教育カリキュラムを作成できるようになりました。
取り組みがスムーズに進められているポイントを教えてください。
農業分野におけるタスクを独自に作成し、農場長クラスの方々に内容を確認してもらいながら進めました。IT分野におけるタスク項目は既にたくさんあるようですが、農業分野は全く存在しないので、農業分野のタスクをゼロから洗い出すところからスタートしました。
ゼロから項目を作っているため、タスクそのものの確らしさを現場のメンバー全員からフィードバックをもらい、タスク自体を全員で作っていることができました。そのため、社員がiCDに取り組む意識が非常に高まったと思います。
その結果、農業版iCDをスマートファーマー育成コンソーシアムのメンバーと弊社の社員で作り上げることができました。
iCDをご導入されて変化したことはどのようなことでしょうか
個人の視点として、このような声が上がっています。
・自己診断を実施することにより、自己理解と成長へのモチベーションにつながった。
・座学研修前後で自己診断を実施したが、生産計画やリスクマネージメントなど目に見える形で効果を実感できた。
・年次教育の目標値として、診断レベルを利用することで、明確なキャリアパスが示せるようになった。
一方、経営の観点からも、
・名もなき業務の明確化により、業務引継ぎ等の効率化が期待できるイメージを持てた。
・独立を目指していく中で、経営への参画意識が高まった。
このような変化が社内に生まれました。
今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか
日本の農業には、農業者自身が必要とする情報を農業者自身の手で集めて分析でき、その情報を活用し、さらには経営改善に生かすことができる、そのような農業者が必要とされています。私たちは、そのような農業者を「スマートファーマー」と呼んでいます。
トップリバーでは、スマートファーマーによる組織化された農業経営を行いながら、将来、彼ら自身が独立して新たな「農業経営の組織化」を実現できるように、スマートファーマーの育成に力を入れています。スマートファーマーを育成して、世に広げることが、生産性を上げて収益性も高められる「儲かる農業」を実現し、日本の農業を発展させることにつながるものと考えています。
iCDを活用することで、自分の強み、弱みを知り、分析し、次季に活かすことで、次年度の生産への新たな活力となり、更なる飛躍が期待できるようになると実感できました。人材の成長は、結果に直結します。弊社では「農業百年の計は人材育成にあり」をモットーにiCDを活用した農業経営者を育てられる文化を農業界に広げていきたいと考えています。